原油流出事故を微生物で浄化
バイオレメディエーションは土壌だけでなく、海洋の浄化など水質改善にも利用されています。
タンカーの座礁などによる石油流出事故をニュースで耳にされたことがあると思いますが、
アメリカで起こった「エクソンバルディーズ号の原油流出事故」では、
世界で初めて大規模なバイオレメディエーションが実施され、その技術が脚光を浴びました。
【エクソンバルディーズ号原油流出事故】
1989年に起こったアメリカで最大の石油流出事故で、
それまで海上で発生した人為的な環境汚染では最大級と言われています。
原油タンカー「エクソンバルディーズ号」が座礁によりアラスカ州に約258000バレルの原油を流出させ、
数十万羽もの海鳥ほかラッコなど海生ほ乳類、数百羽のハゲワシなど数多くの動物が死亡し、
1931キロ以上の海岸線にも甚大な被害をもたらしました。
この時、アメリカ環境保護局とエクソン社が世界で始めて微生物を用いた
大規模なバイオレメディエーションを実施し、詳細な科学的データがとられました。
この時、微生物による原油の除去が行われました。
原油の成分の中には、普通の微生物では分解できないものも多くあるのですが、
原油の中で成育でき、さらに原油を分解できる微生物が、
ほとんどの海岸に一般的に生育していることが明らかとなっていたため、
この石油流出事故では海岸に微生物の栄養分となる成分が550トン散布され、
微生物を増殖させて、原油の除去と海洋の浄化が行われました。