油処理剤の処理能力

油処理剤の分解の原理

 

油処理剤は大きく分けて3種類あることを過去の記事で紹介してきました。
そこでこの記事ではまずそれらの油処理剤がどのような原理で、
油を処理できるのかを説明していきたいと思います。

 

界面活性剤の原理

 

界面活性剤(中和剤・分散剤)による油処理剤は、
水とくっつきやすい親水性の成分と油とくっつきやすい親油性の成分でできています。
これを油に対して使用すると、親油基により油の中に入り込み、
また親水基によって周りの水ともくっつこうとします。

この両方が同時に作用することで油の結合力が低下し、
結果的に目に見えない程細かくなるまで分散していきます。
「油を分解する物」ではなく「分散させる物」であるという点に注意が必要です。

 

油吸着材の原理

 

油吸着材の多くは水を吸わず油だけを吸着する物でできています。
素材は天然セルロースやポリプロピレン等様々です。
繊維質で綿状の物が多く、毛細管現象によって油を内部に取り込みます。
内部に取り込むので油が再度外に漏れ出しにくい構造になっています。

逆に言うと、繊維質でないポリプロピレンでできたマット状の油吸着材は、
油を内部に吸いきることができず、一度吸着した油が垂れてしまうこともあるので
注意が必要です。

 

油吸着材イメージ

 

生物処理の原理

 

生物処理による油処理剤はバイオのはたらきによって油を分解します。
具体的な菌種や、単一の菌を使っていたり複数種の菌を使っていたりと、
商品によって様々な特徴があります。

これらの菌は油をエネルギー源として体内に取り込み、
一部は自身の栄養として取り込み、また一部は水と二酸化炭素に分解します。

 

生物処理イメージ

 

油処理剤の処理能力

 

次にそれぞれの油処理剤がどのような処理能力を持っているのかを紹介します。

 

界面活性剤の能力

 

界面活性剤(中和剤・分散剤)による油処理剤は、
油に対して使用すると瞬時に反応して油を細かくすることができます。
しかし散布量が適切でなかったり適切な方法で使用しないと、
上手く反応しない場合があるので注意が必要です。

また油を目に見えない大きさまで細かくしてはいますが、
油の分解は地場の微生物に委ねることになる点にも覚えておく必要があります。

 

油吸着材の能力

 

油吸着材は界面活性剤と同じく、油と接触すると瞬時に油を吸着します。
つまり既に置いている油に対して使用すればすぐに回収でき、
油の拡散防止の為に設置して使用すれば吸着し漏れにくいということです。
油吸着材はとても扱いやすい商品といえます。

吸着性能は商品や油の種類によってまちまちですが、
自重の10〜30倍の量の油を吸着する物が多いです。
バイオフューチャーのセルソーブ場合、機械油に対して使用すると、
セルソーブ1kgで約18リットルの機械油を吸着します。

 

油吸着材使用例

 

生物処理の能力

 

バイオを用いた生物処理による油処理剤が他の処理方法と異なる点は、
油を分解することができる点です。
その化学的な物質を使用しない為環境に優しく、
また原位置で浄化し産廃処理も必要が無い為比較的安価でできる場合が多いです。
様々な油種に対応しており、油以外の物質で汚染された土壌の浄化も可能です。

万能に見えるバイオを用いた油処理剤にも欠点があり、
一つはバイオが時間をかけて油を分解する為、早くても数か月かかってしまう点です。
また生物を使用している為、氷点下や60度以上の高温の場所では使用できません。

 

オイルゲーター使用例