土壌汚染の改良費用の目安はいくら?土壌汚染の調査や浄化にかかる費用をご紹介します
土壌汚染の改良費用についてご紹介します
土壌汚染の改良費用はどのくらいかかるのか、バイオの専門であるバイオフューチャーが解説します。
土壌汚染は、健康に悪影響を及ぼす有害な物質が土壌に浸透し、土壌や地下水を汚染している状態のことです。土壌汚染を放置すると、人々の健康被害や環境被害にもつながる可能性がありますので重要な問題であり、土壌の改良が必要となります。
この問題に対応するため、2003年2月に「土壌汚染対策法」が施行されました。この法律では、特定有害物質を扱っていた工場を廃止する場合や、土壌汚染の可能性があり近隣の人へ健康被害を及ぼす可能性がある場合、その汚染した土地の所有者が汚染状況を調査することを義務付けています。
また、調査の結果、特定有害物質が土壌汚染対策法によって定められた基準値を超えていた場合は、都道府県により健康被害のおそれの有無に応じて「要措置区域」または「形質変更時要届出区域」に指定されます。「要措置区域」に指定された場合には、汚染の除去等の措置など改良が必要となります。
土壌汚染の改良費用は基本的に土地の所有者が負担しますが、汚染原因者がわかっている場合はその者に改良費用を請求することができます。
そこで気になるのが、汚染した土壌の改良費用です。土壌の改良費用には相応の金額がかかります。この記事では、土壌汚染の調査や浄化対策までの改良費用について解説しますので、効果的な浄化対策をご検討ください。
土壌汚染調査にかかる費用
土壌汚染調査の費用は、汚染した土地の状況や影響範囲、また調査期間などによっても異なります。
土壌汚染のおそれがある場合や土壌汚染した土地であると確認した場合は、まず専門の調査機関による土壌汚染の調査を行い、土壌汚染の範囲や濃度の特定を行います。これにより、浄化する範囲や深さが明確になり、結果的に土壌汚染の改良費用を抑えられます。
土壌汚染の調査プロセスは次のとおりです。
- 1. 地歴調査:汚染した土地の利用履歴を確認する
- 2. 表層調査:実際に土壌試料やガスを採取し、表層(平面上)の汚染の状況を確認する
- 3. ボーリング調査:汚染物質がその土地にどの程度の深さまで浸透しているかを確認する
ここからは、各プロセスの具体的な調査内容や費用について詳しく説明していきます。
地歴調査の費用
地歴調査では、土地の利用方法の変遷を過去から現在に至るまで調べ、その土地がどのように利用されてきたのか、また土壌汚染の可能性があるかどうかを評価します。
具体的には、登記簿謄本等の資料を用いた調査、聞き取り調査、現地調査などを行います。
例えば、過去にクリーニング店や工場があった場合は、地歴調査によって土壌汚染の可能性がある、という予測ができます。ただし、地歴調査はあくまでも書類上の調査ですので、実際に土壌汚染が起きているかどうかは次のプロセスで判断することになります。
この地歴調査には、調査ポイントにより10万〜30万円程度の費用がかかります。この費用の内訳としては、必要資料の取得費用や情報を入手するための時間や手間などが挙げられます。
調査期間が短いほど費用は安く抑えられる可能性がありますが、地歴調査はこの後の調査や浄化方法を決定していく大切な判断材料となります。後から汚染した土壌の改良にかかる費用が追加で発生しないように、ここでしっかり調査を行う必要があるのです。
表層調査の費用
地表から50cmの浅い深さの土壌や1mの深さまでのガスを採取・分析し、表層の平面的な土壌汚染の有無について調査します。
調査する範囲や地面の状況にもよりますが、費用は20万〜60万円程度のところが多いです。例えば、地面がアスファルトやコンクリートで覆われている場合、コア抜き(調査のためにコンクリートなどの壁や床に穴を開けること)をして地表を露出させる必要がありますので、その分費用は高くなります。
また、土壌汚染が確認された箇所については、この後に続くボーリング調査で土壌汚染の深度や濃度を調査していきます。
ボーリング調査の費用
ボーリング調査では、地表から10m程度の穴を機械で堀り、土壌や地下水を採取・分析して土壌汚染の度合いを調査し、汚染範囲を特定します。
この調査の費用は、1地点あたり20万〜50万円が目安となります。費用の目安の幅が大きいですが、例えば調査・分析する物質の種類や数によって1地点あたりの費用が異なりますし、土壌汚染の範囲によってボーリング調査を何箇所行う必要があるかによっても費用は変わってきます。変動要素が多いため、具体的な要件が固まってきた段階で見積もりを取ると良いでしょう。
土壌汚染の対策費用は?浄化・改良にかかる費用例をご紹介
土壌汚染の対策費用として、浄化にかかる改良費用はどのくらいなのでしょうか。調査の結果、都道府県により健康被害があると判断され、要措置区域に指定された場合には、汚染の除去等の措置を行わなければなりません。
ここからは浄化にかかる費用の一例として、バイオフューチャーで実績のある「油による土壌汚染」と「クリーニング店跡地(テトラクロロエチレン)の土壌汚染」の改良費用についてご紹介します。
ただし、同じ手法を採用しても土壌汚染の状況によって改良費用は異なりますので、あくまでも目安として参考にしていただければと思います。
油による土壌汚染の浄化・改良対策費用
バイオフューチャーでは、油による土壌汚染の浄化対策に「油吸着分解材オイルゲーター」や「液体バイオ製剤HC」を使用しています。これらの製品は油と接触することでバイオが油を分解し、土壌汚染を浄化する役割を持っています。
オイルゲーターは天然素材からできた粉状の油吸着分解剤で、十数種類のバイオが吸着した油を水と二酸化炭素に分解してくれます。油を吸着した後そのまま土壌に放置しておけば土に還り、産業廃棄物としての処理が不要となります。
また、液体バイオ製剤HCは、鉱物油を分解するバイオを含んだ液体です。液体に含まれるバイオが油と接触することで、時間をかけて油を水と二酸化炭素に分解してくれます。
使い方としては、汚染土壌にオイルゲーターを散布し、バックホウ(掘削機械)などを用いて撹拌させ、油とオイルゲーターを混ぜ合わせ接触させます。あわせて、油の分解促進やオイルゲーターの飛散防止のために、液体バイオ製剤HCを動力噴霧器などを用いて汚染土壌に散布します。建屋などがあってオイルゲーターが撹拌できないような場合は、ボーリングなどで開けた穴に注入管を設置し、液体バイオ製剤HCを注入していきます。
オイルゲーターの撹拌処理の場合は、1回の施工で行います。浄化までの期間は半年前後が目安になりますが、条件によっては3カ月程度で終わる場合や1年程度かかる場合もあります。
一方、液体バイオ製剤HCのみを使用した場合は、土壌汚染の範囲、深度や濃度により異なりますが、毎月1〜2回注入し、半年から1年かけて浄化を行っていきます。
実際のケースとして多いのは、オイルゲーターと液体バイオ製剤HCの併用か、液体バイオ製剤HCのみの使用です。
これらにかかる土壌汚染の改良費用は、土壌汚染の状況や場所にもよりますが、1㎥あたり1.5万〜5万円が目安になります。
クリーニング店跡地(テトラクロロエチレン)の土壌汚染の浄化・改良対策費用
クリーニング店を廃業する際に土壌・水質調査を行うと、テトラクロロエチレン等の塩素系有機化合物による土壌汚染が確認されるケースが時々あります。その場合、バイオフューチャーでは塩素系溶剤分解菌の「液体バイオ製剤CL」を使用し土壌汚染の浄化を行います。
使い方は、浄化用の機材や注入管を設置し、この注入管から液体バイオ製剤CLを注入します。
もし、地下水汚染もある場合は、汲み上げ井戸も合わせて設置することになります。井戸から汚染水を汲み上げ、地上のタンクで液体バイオ製剤CLと混合し分解させます。
浄化した水は再度土に散布して浸透させていきます。そして、汚染水を汲み上げ、循環させながら浄化していきます。
基本的に、液体バイオ製剤CLは1L/㎥の割合で月1〜2回使用していくと、半年程度で浄化が完了します。ただし、テトラクロロエチレンなどの塩素系有機化合物は、特定有害物質として指定されているため、浄化完了後も2年間のモニタリングを行ったうえで、改良終了となります。
これらにかかる改良費用は、汚染の状況によりますが、1㎥あたり1万円前後が目安となります。
土壌汚染対策費用の相場は?土壌汚染除去・改良費用について解説します
土壌汚染対策費用の相場がどのくらいかご存知でしょうか。
改良の方法としては、大きく分けると掘削除去、オンサイト浄化、原位置浄化の3種類があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、採用する改良方法によって改良費用も大きく異なりますので、しっかりと理解しておきましょう。
また、土壌汚染した土地の状況や調査結果などによっても改良費用は大きく変わりますので、ここでお伝えする費用はあくまでも目安としてお考えください。
ここからは、3種類の改良方法について詳しく解説します。
1.掘削除去の費用
掘削除去は文字通り汚染された土壌を掘削し、その場所から除去する方法です。掘削によって除去された汚染土壌は、外部の処理施設に運び、そこで処分されます。また、掘削除去された土地には新しい土壌が入れられます。
メリットとしては、汚染された土壌をその土地から運び出すため確実に除去できる点や、比較的短時間で対応できる点です。一方で、改良費用が比較的高く、環境への負荷が大きいというデメリットがあります。
掘削除去にかかる改良費用は、土壌汚染の影響範囲や汚染物質の種類にもよりますが、1㎥あたり5万~10万円程度が相場となります。
2.オンサイト浄化の費用
オンサイト浄化は、汚染土壌を掘削し現地で薬剤の使用や土壌の浄化を行い、汚染した土壌を無害化させたうえで、浄化した土を埋め戻す方法です。
掘削除去より改良費用を抑えられるメリットはありますが、浄化できる汚染物質の種類が限られたり、現地で処理できる広い敷地が必要で、土壌汚染した土地が大規模でないと改良費用が割に合わないといったデメリットがあります。
掘削除去に比べてオンサイト浄化はいくつかの条件が合わないと実施が難しいため、まずは条件面がクリアしているか確認してみましょう。
3.原位置浄化の費用
原位置浄化は、土壌を掘削せずに薬剤や微生物製剤を注入したり、集水井戸を設置して揚水するなどして汚染土壌を浄化する方法です。
原位置浄化のメリットは、環境への負荷が小さい点や、土壌の掘削を伴う浄化方法(掘削除去・オンサイト浄化)より改良費用を抑えられる点です。一方、デメリットとしては、浄化できる汚染物質の種類が限られたり、多くの場合は浄化までに時間がかかります。
バイオフューチャーの浄化方法は、この原位置浄化となります。
土壌汚染対策費や改良・浄化についてのお問い合わせはバイオフューチャーまで
土壌汚染対策費や浄化に関してお困り事がありましたら、バイオフューチャーまでご相談ください。
今回の記事では、土壌汚染の調査から浄化にかかる改良費用についてご紹介しました。
その土地の状況やどのような調査・浄化を行うかによって改良費用は大きく変わってきますので、ここで解説した改良費用はあくまでも目安となります。
安易に価格だけで業者を選んでしまうと、調査結果が不十分であったり、浄化が中途半端な状態で完了していたなどの理由から、余計に改良費用がかさむ可能性もあります。土壌汚染は非常に重要な問題です。改良が必要な場合は、事前にしっかり情報収集して信頼できる業者を選択し、改良費用が妥当かどうかを検討しましょう。
当社バイオフューチャーは、微生物(バイオ)の働きを利用し、土壌、水、空気等の環境の浄化(バイオレメディエーション)を行う企業です。土壌汚染に関する浄化実績は多数ありますので、現場の状況に合わせたご提案をさせていただきます。また、浄化からモニタリング、行政への報告まで一貫して対応することも可能です。資材のみの販売も行っております。
土壌汚染の調査については対応しておりませんが、外部の調査会社と連携するなど、ご相談内容に応じて対応させていただきます。
土壌汚染した土地の改良費用に関するご質問などは、下記お問い合わせ先よりお気軽にご連絡ください。