【海洋汚染と油】対策(流出後の回収方法)や環境への影響を解説
【海洋汚染】油の対策(流出後の回収や処理)、生態系への影響を解説
海洋汚染は油の対策(流出後の回収や処理)が非常に重要です。
「油」は燃料や原材料として使われており、私たち人間の暮らしに必要不可欠の存在です。
ですが、土壌や海洋に流出させてしまった場合、海洋汚染として深刻な影響を環境に与えてしまうことはご存知でしょうか。
今回のコラムでは油の流出による海洋汚染をテーマに、日本での現状や国としての対策、海洋汚染が及ぼす自然への影響、回収方法をご紹介します。
そしてバイオによる汚染の浄化を専門としている当社が、流出させてしまった時の対策(対処法)についても解説いたします。
日本での海洋汚染の現状について
日本の海洋汚染の問題は、現状どのような状況なのでしょうか。
海洋汚染は世界の海で起きている問題ですが、今回は日本の油の排出による海洋汚染に絞ってみてみましょう。
海上保安庁の発表によると、令和3年(2021年)に起こった海洋汚染は493件発生したそうです。
この海洋汚染の件数は2011年以降最も多い件数で、このうち油の排出による海洋汚染は332件にのぼり、前年の海洋汚染の発生件数と比べると46件増えています。
更にこの数字を詳しく見てみましょう。
332件の海洋汚染(油によるもの)のうち、195件が漁船や貨物船などの船舶からの排出、陸上からの流出が40件、排出源不明が76件となっています。
船舶からの排出が大多数ですが、陸上施設からの排出による海洋汚染も目立ちます。
排出原因がわかっているものは全体のうち256件で、「取り扱い不注意」が最多とのことでした。
(取り扱い不注意とは、誤ったバルブ操作や、不適切なタンク計測・機器の点検整備などが挙げられます。)
その他にも、送油管やホースなどの破損、船舶海難など流出の原因は様々です。
ですが、排出の原因の多くは点検や操作など、対策をしたら防げたものが多かったため、海洋汚染が過去最多という現実は非常に残念に感じられます。
油による海洋汚染は除去に時間がかかる上、深刻な被害を環境に与えますので、油を取り扱う方には流出防止の対策、そして万が一流出させてしまった時の対策が必要です。
国の海洋汚染の防止や対策とは
こうした海洋汚染の問題に対して、国はどのような対策をしているのでしょうか。
海上保安庁では、油や有害な液体による海洋汚染の問題に対し、以下のような取り組み(対策)を推進しているようです。
【対策・取り組み】
・講習会、訪問指導などの実施
・件数の多かった取り扱い不注意に対する防止の指導
・オーバーフロータンクの設置やスカッパーの閉鎖など、流出を防止する指導 など
また、油を流出させてしまった際、迅速に対応できる技術や体制を確立しており、流出後48時間以内に日本全域の流出事故に対応できる体制を整えています。
更に海洋だけでなく、国内の河川の水質事故に対しても対応できる体制があり、土壌や海洋汚染を防ぐ対策をとっています。
油の流出が及ぼす3つの影響とは
油の流出や海洋汚染、国の対策や取り組みについてご紹介しましたが、実際に流出してしまうとどのような事が起こるのでしょうか。
よく海洋汚染の報道など耳にすることもあるかと思いますが、具体的に海洋汚染がどのような影響を与えているのかはあまり知られていないかもしれません。
ここでは海洋汚染の影響や被害について3つご紹介します。
1、海の生き物たちの生態ピラミッドに影響
最初に挙げる海洋汚染の影響は、海で暮らす生き物たちへの影響です。
海の生き物たちの生態ピラミッドを支えるプランクトンが海洋汚染の影響を受け減少し、プランクトンを食料とする魚が連鎖的に減っていくことが考えられます。
直接的ではないにしても、海洋汚染によって海の生き物たちの生殖や食料などに機能障害が起こる可能性が指摘されています。
2、海辺に生きる生物や海鳥・海獣への被害
次にご紹介する海洋汚染の影響は、沿岸で暮らす水鳥や海獣です。
水鳥や海獣は海洋汚染の被害を受けやすい存在です。
大規模な海洋汚染の報道で、油に汚染された水鳥の姿をテレビで見たことがある方は多いのではないでしょうか。
鳥は尾脂腺(びしせん)から分泌される疎水性の物質で羽がコーティングされており、これによって水面に浮かんだり体温を維持することができます。
ですがこの物質は親油性(油に溶けやすい性質)であるため、油膜の広がった水に触れることで溶けてしまい、これらの機能が失われてしまいます。
つまり流出した油の広がった海に触れると泳げなくなるだけでなく、体温が低下し死に至る事もあるのです。
また、汚染された状態で毛づくろいをしてしまうため、体内に石油を取り込んでしまい、内蔵機能を損傷するなどの健康被害を引き起こします。
病気になると、動きが鈍くなって外敵から身を守れなくなる、餌がとれなくなるなどの不調が起き、死に至るケースも少なくありません。
直接的な死因ではありませんが、水鳥・海獣は油による海洋汚染によって深刻な被害を受けている存在と言えるでしょう。
3、漁業や観光など、人の暮らしに影響も
海洋汚染による被害は、人の暮らしにも影響します。
大規模な流出事故が起こった場合、まず漁業への影響が挙げられます。
養殖地で油による海洋汚染が起こると大規模な被害を受けますし、魚の大量死に至らなくても、魚の体が汚れてしまえば売り物とはなりません。
海洋汚染によって深刻な被害が発生する事は間違いないでしょう。
また油が海岸に到達した場合、景観はもちろん遊泳もできなくなるため、観光業も海洋汚染によって深刻な影響が与えられます。
更に、油の回収作業のため物流や交通などへの影響など、広範囲に海洋汚染の影響を受ける場合があります。
海洋汚染の影響は、こうした私たちの暮らしや産業への影響が挙げられますが、その他にも人体への影響も外せません。
海の生き物たちがそうであるように、私たち人間にとっても石油などの油は有害な物質です。
石油には人にとって毒性のある成分が多いため、回収や防除作業をする人、つまり直接油に触れる人は健康被害を起こしやすいと言われています。
対策不十分で海洋汚染の処理活動を行うと、頭痛などの神経症状の他、めまいや吐き気などの症状が起こり、最悪の場合死に至る事もあります。
実際、平成9年に島根県で発生したナホトカ号の事故では、油回収に当たっていたボランティア5名(うち2名は漁業者)が亡くなっています。
この後、ボランティアの医師団によって、作業者の突然死や罹病、怪我を防ぐプランを作成、指導するなどの対応がされたそうです。
油による海洋汚染の危険性がわかるひとつの事例といえるでしょう。
このように人体への悪影響があるため、海洋汚染の油回収作業など、取り扱う際には充分な対策と注意が必要となります。
油を流出させてしまった!その対処法をご紹介【対策方法】
油の流出による海洋汚染は、海洋の生き物だけでなく人の暮らしや健康にも深刻な影響を与えることをご紹介しました。
万が一の時に備え、しっかりと対策をして海洋汚染を防いでいきたいですね。
では、実際に油を流出させてしまった場合、海洋汚染を防ぐためにどのような回収作業が行われるのでしょうか。
回収方法は大きく分けて3つの方法が挙げられます。
(この3つの方法で回収されなかった場合、油は海を漂うことになり、海岸に漂着した場合は海岸清掃によって除去を行います。)
・物理的回収
・化学的回収
・生物処理系 油処理剤(バイオレメディエーション)
海洋汚染の対処法(回収方法)について、詳しくご紹介しましょう。
物理的回収
物理的回収は、広範囲で海洋汚染が起こらないようにするため、オイルフェンスを使用し、流出油を囲って封じ込める方法です。
流出元の周りにオイルフェンスを張り巡らせ、油が拡散しないように囲います。
その後回収船や装置を使用して回収するのが物理的回収です。
囲い集めた油を、油吸着材を使用して回収する方法もあります。
(油吸着材を完全に回収することが条件となります。)
物理的回収は基本的な回収方法となりますが、油が広がる前に行わなければならないため、迅速な対応が求められます。
海が穏やかな場合は問題なく回収作業ができますが、海が荒れている時は回収船が出航できないなどの理由で作業自体が困難になる事も多いため、このような場合は流出油が拡散されてしまう可能性が考えられます。
化学的回収
オイルフェンス等による物理的回収が基本であり、望ましいとされる回収方法ですが、この物理的回収で対処し切れなかった場合には化学的回収として油処理剤(油分散剤)が使用されます。
油処理剤は海洋への油の拡散を防ぐ効果がありますが、一方で油処理剤に含まれる毒性が環境に影響を及ぼすといわれており、使用について議論されています。
油処理剤によって海洋汚染や環境悪化を引き起こしたと言われる事例は世界中にあり、日本でも1971年に起こったジュリアナ号事故で使用した油処理剤による海洋汚染が問題視されました。
ですが、現在の油分散剤の毒性は過去の物と比べ低減しており、海洋への影響は少ないと言われています。
ですが、毒性が完全になくなったわけではなく、条件によっては環境悪化を招く可能性もあることから、使用の判断は慎重になるべきでしょう。
現在、日本も油分散剤の使用には慎重となっており、基本的に他の方法で除去できない場合を除き、使用してはいけないとされています。
最終手段として、油分散剤の選択肢があるということですね。
生物処理系 油処理剤(分解処理)
生物処理系 油処理剤とは、微生物の力を活かして浄化する方法です。
微生物が持っている力(酵素)によって有害物質を分解する仕組みで、油を分解してしまうため、産業廃棄物として処理する必要がないのが特徴です。
有毒な成分を含む化学的回収とは異なり、環境への影響が少ないので、環境にやさしい処理方法と言えるでしょう。
ですが、汚染のタイプや濃度によって、分解に時間がかかってしまう事がデメリットとして挙げられます。
開けた場所では微生物が滞留することが難しく汚染を分解する前に拡散してしまうため、海などの開けた場所で使用することに適していない場合が多いです。
当社では環境にやさしい油吸着材や対策キットを販売しています
当社バイオフューチャーでは、バイオの力を活かした環境にやさしい油吸着材や対策キットを取り扱っています。
海洋汚染は船舶事故など、海上だけで起こるものではありません。
河川や排水溝などを通し、陸上から排出した油による海洋汚染もあります。
迅速に対処をせずに土壌や海洋汚染を広げてしまった場合には、産業や人の暮らしにも影響を与えてしまうため、多額の損害賠償を求められます。
油を使う方は、日頃の「未然に事故を防ぐ対策」や「万が一漏らしてしまった場合の対策(備え)」が重要です。
当社では、万が一漏れてしまった時の対策として、バイオの力を活かした環境にやさしい油吸着材や対策セットを取り揃えています。
迅速な対処が求められる流出事故、海洋汚染の防止に備え、是非当社の対策・対処に役立つ商品をご検討ください。
油吸着材セルソーブ
油吸着材セルソーブは、水を吸わず油類を吸収する商品です。
特殊加工した天然セルロースを原材料とした綿状の油吸着材で、水の上に広がった油の吸着や、グリーストラップの清掃などにお使いいただます。
撒いたらすぐに油と吸着し繊維内部に固定されます。
再び溶け出ることがないので、二次汚染の心配がないのが特徴です。
※使用後は金網やネットなどで回収し、産業廃棄物として処分する必要があります。
素材が天然の生分解物質のため、環境やその環境で生息する生物への害も少ないため、環境に優しく安心できる商品です。
このセルソーブを加工し、更に回収しやすくなったものがセルマットとセルフェンスです。
セルソーブは綿状であるため、手の届く範囲内の回収作業に活躍しますが、海上や湖沼など広い場所の場合にはセルマットが活躍します。
セルフェンスは複数個つなげて使うもので、水上の油が広がるのを防ぐことができる商品です。
セルフェンスにもセルソーブが入っているので油を吸着します。
こちらは河川へ漏油した場合や、浮上油の吸着にお使いいただけます。
万が一に備えた対策セット『スピルキット』
汚染事故が発生した場合、被害拡大を防止するためにも迅速な対応が必要です。
正しい対処法をしっかりと把握し、現場に迅速に対応できる対策キットをご用意する事をお勧めいたします。
当社では、万が一のときに迅速に対応できる対策キットとして『スピルキット』をご用意しております。
緊急油処理用品(対策キット)『スピルキット』は、土壌への漏油に使えるオイルゲーターやセルソーブ、セルフェンス、セルマット、その他処理に必要なアイテムが一式揃ったボストンバッグサイズの袋の対策キットです。
対策キットの他にも、大容量の油流出事故備えとして緊急油処理ボックスも対策アイテムとして取り揃えていますので、土壌は勿論、河川からの海洋汚染を防ぐためにも、これら対策キットを是非ご検討ください。
万が一に備えた対策をし、海洋汚染を防ぎましょう
油の流出事故による海洋汚染について、自然環境に与える影響や、国がとっている対策、回収方法、そして当社の商品についてご紹介しました。
海洋汚染の原因である油の流出の原因は、取り扱い不注意が最多とのことでした。
海洋汚染の原因の多くは対策を行うことで防げることが殆どですので、排出させないようにしっかりと対策をとり、取り扱い時には注意していただきたいですね。
海上だけでなく、陸上でも河川を通じて油が排出されて海洋汚染とならないよう、注意や対策が必要です。
セルソーブをはじめ当社の商品は環境に優しく、しっかりと吸着・回収しやすいのが特徴です。
緊急対策キットのご用意もありますので、日頃の対策・備えとして是非ご検討ください。
当社、バイオフューチャーは湖沼などの浄化、重油流出処理など、全国の油漏れや流出事故に対応しておりますので、何かお困りのことがありましたら当社までご相談ください。
対策キットの選び方などのご相談も承りますので、お気軽にお問い合わせください。
しっかりと万が一に備えた対策をして、海洋汚染を防ぎ、美しい自然を守りましょう!